1. HOME
  2. ブログ
  3. ROOKIEブログ
  4. 職場コミュニケーション
  5. 正しいことほど職場では言いにくい|社内コミュニケーションが組織を変える理由

BLOG

ブログ

職場コミュニケーション

正しいことほど職場では言いにくい|社内コミュニケーションが組織を変える理由

正しいことを職場で言いやすくする社内コミュニケーションのイメージ

こんにちは、株式会社ROOKIEの堀内です。

この連載では、トヨタ・コンサル・ROOKIEでの事業開発経験を通じて私が感じてきたことを起点に、「部門を横断する仕事と組織の壁」というテーマで書いていきます。

新規事業開発、新商品開発、全社施策の推進など、部署をまたいで仕事をする立場の方に、何か一つでもヒントをお伝えできれば嬉しいです。

第1回は、コンサルタントとして支援した現場で目の当たりにした、あるメーカーのエピソードです。
問題はわかっている。データも揃っている。なのに、それを言い出せない話です。

「首都圏で販売が落ちている認識はない」

以前支援した、社員数千人規模のとあるメーカーでの話です。
デジタル化に乗り遅れている状況でコロナ禍となり、シェアが大きく落ち込んでいる状況。

販売データを分析すると、首都圏エリアでは、販売台数の落ち込みは他エリア並みだが、近年シェアを大きく落としていることが分かりました。数字を見れば、誰の目にも明らかな事実でした。

それを経営企画部長に報告すると、こんな答えが返ってきました。

「エリアの区分け変更や拠点移動があったから、首都圏のシェアが下がって見えるだけではないか。首都圏が落ちこんでいるという社内認識はない」

違和感を覚えた私は、拠点ごとの販売データを再整理し、ヒアリングで確認したエリア変更の影響も加味した上で、もう一度数字を精査しました。やはり、首都圏でのシェア低下は明白でした。

再度その事実を伝えると、今度はこう言われました。

「他メーカーが首都圏でキャンペーンを打っていたからその影響ではないか。首都圏のシェア落ち込みは一時的で、いずれ回復するのではないか」

目の前の事実に、なかなか向き合おうとしない、その姿勢の裏に何があるのか、私はずっと引っかかっていました。

本当のことが言えない

プロジェクトを進め、その会社のことをよく知るうちに、実態が見えてきました。

首都圏の営業担当役員が、社内で相当な影響力を持っていたのです。経営企画部としては、その役員の管轄エリアで販売シェアが落ちているという事実を、面と向かって突きつけることができない。それが、あの歯切れの悪い返答の正体でした。

このままでは埒が明かないと判断した私は、別の角度からアプローチしました。他メーカーの首都圏での取り組み強化の動き、顧客の購買行動の変化、WEBのアクセスデータの推移。それらを丁寧に組み合わせ、「首都圏の販売減少は営業だけの問題ではなく、全社として対策が必要な構造的な課題だ」ということを、データと共に真摯に説明しました。

すると、当の首都圏担当役員は、こう言ったのです。

「非常にありがたい問題提起だ。一緒に解決策を考えたい」

驚くほどあっさりと、でした。
担当役員自身も課題を肌で感じていたが、「自分のエリアが苦戦しているから助けてほしい」とは中々言い出しづらかったのです。

その後プロジェクトが立ち上がり、新たなWEB販売商品の開発と販売プロセスの構築、そして首都圏からそのトライアルに取り組むことになりました。

結局のところ、それぞれがいらぬ気を遣っていただけだったのです。

「社内なのに」ではなく、「社内だから」

もし経営企画部と営業部門の間に、日頃から本音で話せる関係が一つでもあれば、こんな回り道は必要なかった。
「実はあの数字、ちょっとまずいんですよね」という会話が、自然に生まれていれば、対策はもっと早く打てていたはずです。

「同じ社内の仲間なんだから、最初から本音で話せばいい」と言うのは簡単です。しかし、私自身大企業で働いていたからこそ、そう簡単にいかないことはよく分かります。

社外の相手であれば、ビジネスライクに多少率直なことも言いやすいかもしれません。しかし、社内の相手は違う。明日も、来月も、来年も、同じ組織で顔を合わせ続ける相手です。

そうなると、敵対したくない、嫌われたくない、と本音に蓋をしたり、本当のことを伝えないということが起きてしまうのです。

「社内なのに言えない」のではなく、「社内だから」こそ言えないことが、大企業にはたくさんあるです。

では、そうした壁を乗り越えるために必要なものは何か。
結局のところ、人間である以上、「何を言われるか」と同じぐらい(もしくはそれ以上に)「誰に言われるか」の方が大事なのです。

関係性が出来ていないと、深い話や耳の痛い話は出来ない。また、どれだけ正しいことを言っても、関係性のない相手からの言葉はなかなか届かないこともあります。

耳の痛い話は、コンサルタントを使って外圧をかけることも、一つの手ではあります。しかし、それは一時的な対応に過ぎず、本質的には職場コミュニケーションの土台を日常の中で作っておくことが重要だと私は考えています。

では、その土台はどうやって作られるのか。

次回は、私自身のトヨタ時代の経験をお話します。様々なPJを乗り越えられた理由が、実はこの問いへの答えに繋がっています。

「言える組織」は設計でしか作れない

「社内だから言えない」は、個人の勇気の問題ではありません。組織の構造とコミュニケーションの設計の問題です。

正しいことが言いにくい状態は、放置すれば意思決定の質を下げ、チームの停滞を招きます。一方で、心理的安全性や率直な対話が生まれる場は、自然発生を待つのではなく、意図的に作ることができます。

「どう言うか」ではなく「言える場をどう作るか」——組織のコミュニケーション設計を見直したい場合は、ツドウ・バにご相談ください。

関連記事:この記事では「正しいことほど言いにくい」職場の構造に絞って解説しました。職場コミュニケーション全体の課題や改善策を整理して知りたい方は、職場コミュニケーションの全体解説記事もあわせてご覧ください。

社内のつながりを設計する社内交流プログラム「ツドウ・バ」では、部門を越えた関係構築を支援しています。まずはお気軽にご相談ください。

堀内裕樹

堀内裕樹

株式会社ROOKIE 代表取締役

2014年 トヨタ自動車株式会社 入社
営業企画・マーケティング部門に所属。新型カローラの立上げではPJリーダーとして、営業・マーケ・生産管理・技術・商品企画・広報等、多数の部署を取りまとめて事業推進。

2021年 ベイカレント・コンサルティング 入社
住宅メーカー・空調メーカー・電力会社等、幅広い企業の新規事業企画・推進を支援。

2023年 株式会社ROOKIE 創業
大手企業社員の副業・越境支援を展開するとともに、JTC越境コミュニティを運営。累計300名以上が参加する交流イベントを多数主催し、職場や組織を越えたつながりづくりの実践知を積む。大手IT企業において、グループ会社を含めた組織横断の人材交流・育成プログラムを推進。これらの経験から、事業開発の成否は組織図を超えた現場の連携にあると確信し、職場コミュニケーション活性化施策「ツドウ・バ」をローンチ。

専門家メディア「マイベストプロ」(運営:朝日新聞)掲載 → https://mbp-japan.com/tokyo/rookie-horiuchi/

関連記事

カテゴリー